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バブル期、用地の取得難から都内のマンション竣工数は激減

そしていま形状を変えて戻る
75~80年、90~95年、05~10年の3つの時期に分け竣工数の増減を分析

東京都による90~95年、05~10年の2時期を選定した人口増加率調査によると、バブル崩壊後の90~95年は都下、とりわけ多摩地区の自治体が増加率上位を占め、都内の各区は減少しました。そして05~10年になると都内の各区が巻き返しをみせています。

分譲マンションの推移においても同じような現象がみられるのでしょうか。当社は都内と都下および神奈川県、埼玉県、千葉県(以下「都下・3県」)の2つのブロックに分け、75~80年、90~95年、05~10年の3つの時期の竣工数の増減を調べました。その推移をみると東京都の結果と同じように、90~95年を軸にして「都内」が凹型、「都下・3県」が凸型に推移していることが分かりました。

1都3県の分譲マンションストックは2013年12月時点で5万千件を超えました。上のグラフはその竣工推移(件数ベース)を示したものです。今回は75~80年(紫色)、90~95年(橙色)、05~10年(紫色)の3時期に分けて推移の展開を調べました。緑と赤の点線は平均戸数を示します。以下、3つの時期の背景をまとめました。

1975-1980年

首都圏では終戦後、とくに高度成長期にかけて地方からの人口の流入により大幅な社会増が続きました。中でも1970年はそのピークにあり前年比35%の増を記録しています。

こうした背景を受けて70年から公庫融資付き分譲マンションがスタート、71年には用途地域の改正などの措置がとられ、77~79年に第4次マンションブームを迎えました。

1990-1995年

この時期はバブル経済崩壊後の6年間でその影響をもろに受けた時期です。バブル経済時は都心の土地が高騰して用地の仕入れが困難になり、一方では人口の流入による社会増が続いているため、分譲マンション否応なく郊外に押し出される格好での大量供給となりました。

2005-2010年

リーマンショック(2008年)を挟んでの6年間。人口社会増も落ち込み、分譲マンションの竣工数は右下がりの状況が続いています。政策的には都心の土地を有効活用させるべく容積率の緩和等を実施したことから、都内の竣工数が増えています。

3つの時期における竣工数の推移
90~95年は「都下・3県」が増、都内が減、推移は前者が凸型、後者が凹型に
1990~1995年を100とした場合指数(件数ベース)
地区名 75~80年 90~95年 05~10年
港区 935 100 340
世田谷区 152 100 93
渋谷区 641 100 195
新宿区 423 100 212
品川区 281 100 174
立川市 62 100 54
青梅市 17 100 27
港北区 57 100 49
相模原市 15 100 23
所沢市 22 100 35
1990~1995年を100とした場合指数(件数ベース)
地区名 75~80年 90~95年 05~10年
港区 935 100 340
世田谷区 152 100 93
渋谷区 641 100 195
新宿区 423 100 212
品川区 281 100 174
立川市 62 100 54
青梅市 17 100 27
港北区 57 100 49
相模原市 15 100 23
所沢市 22 100 35
1990~1995年を100とした場合指数(戸数ベース)
地区名 75~80年 90~95年 05~10年
港区 136 100 149
世田谷区 161 100 188
渋谷区 769 100 340
新宿区 442 100 322
品川区 439 100 425
立川市 17 100 86
青梅市 13 100 37
港北区 68 100 85
相模原市 41 100 55
所沢市 45 100 46
1990~1995年を100とした場合指数(件数ベース)
地区名 75~80年 90~95年 05~10年
港区 136 100 149
世田谷区 161 100 188
渋谷区 769 100 340
新宿区 442 100 322
品川区 439 100 425
立川市 17 100 86
青梅市 13 100 37
港北区 68 100 85
相模原市 41 100 55
所沢市 45 100 46

上のグラフと図表は3つの時期における「都内」「都下・3県」の竣工数とその推移を示したものです。

注目されるのは90~95年で、これまでに見られなかった異変が生じています。全体の竣工数は前期(75~80年)の5,672件(355,295戸)から7,748件(386,010戸)と増えています。地域別にみると「都内」は2,188件(83,816戸)と大きく減少、変わって「都下・3県」が5,560件(302,194戸)と未曾有の伸びを見せ格差をひろげています。都内におけるバブル期の土地の高騰がいかに凄まじい状況であったかを窺えます。

05~10年に入ると状勢は逆転し、「都内」が増、「都下・3県」が減に変わります。「都内」は件数ベースで3割、戸数ベースではじつに2.4倍の増になります。この理由については次項でご説明します。「都下・3県」は件数で43%、戸数で32%の減になります。

結果、3つの時期にまたがる推移は「都内」が凸、「都下・3県」が凹の形となります。「都内」「都下・3県」の2つの地域内にある市、区ごとの指数による対比も一覧表にまとめました。山と谷はどの落差がみられます。

建物の規模、階高、居室面積の推移

これまで3つの時期における竣工数の推移をみてきましたが、ここからは建物の規模や高さ、居室の広さについて分析することにしましょう。

建物の規模、階高、面積の推移
項目 地域 75~80年 90~95年 05~10年
規模(平均戸数) 都内 46 38 70
都下・3県 88 54 66
6階建以上の比率(%) 都内 60 59 80
都下・3県 38 45 83
超高層(20階建以上)の件数 都内 1 13 133
都下・3県 2 20 97
平均面積60㎡以上の比率(%) 都内 23 45 37
都下・3県 58 58 58
投資向き(面積30㎡以下)比率(%) 都内 12 24 31
都下・3県 2 7 5

注目されるのは「都内」における90~95年から05~10年への推移で、そのポイントを列記します。

  • 平均戸数-38戸から70戸へ増
  • 6階建以上の建物の割合-59%から80%へアップ
  • 超高層(20階建以上)-13棟から133棟へ増
  • 平均面積60㎡以上の比率-45%から37%へダウン
  • 投資向(面積30㎡以下)の比率-24%から31%にアップ

これらの現象は、バブル期に買い占められた都内の土地が放出され、その多くの土地がマンション用地に転換された結果とみられます。加えて国と自治体が都内の土地を有効に活用するため、容積率の緩和を実施したことも大きく影響しています。

平均戸数の増は、建物が高くなり、居室が狭くなったことと関連します。その結果超高層と投資向きワンルームは増えたともいえます。その背景として単身化・小規模世帯化の傾向があることも否めません。

対比した2つの時期は大規模修繕期でいう第2回目と第1回目の時期に当たります。建物の特性変化の状況に十分な配慮が求められます。

最後に3つの時期に建てられたマンションの居住者の声をご紹介しておきます。

◆居住者の声(マンションノートより)
青梅市1986年築

マンション所有者自身が住む割合が徐々に低下していて、マンション組合理事の選出が難しくなっている。

所沢市1992年築

エントランスがいくらよくても、住人のマナーがひどくては、終の棲家にはならないと思いますよ。手入れもあまりよくないようです。

世田谷区2006年築

30代~40代の家族が多く、活気のあるマンションだと思います。住人の距離間も適度に保たれていて、学校、病院その他の必要施設も近くにあり、安心して暮らせる環境が整っていると言えます。

港北区1991年築

年数が経っているにもかかわらず、ここまで保たれているのは、日ごろの清掃のおかげだと思っている。管理人によるフロントサービスに宅配便の扱いがあり、助かる。修繕もきちんとされていて、今までの積立金の余裕がそうさせているのだと実感しています。

世田谷区1978年築

とにかく駅から近い!桜新町4分はなかなかない。駅からの道も平坦で分かりやすく高齢者でも安心に通れます。

新宿区2006年築

場所にはよっては部屋がかなり暗い。ただし、日中働いていて部屋にいない方は特に問題はないであろう。

居住者の声 ― 口コミサイト「マンションノート」より収集