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東京都内、高経年マンション(築40年以上)のストック分析

建替え円滑化法の一部改正が新たな選択肢になるか
分譲マンションの老朽化対策に新たな選択肢

「マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律」が2014年6月、参院本会議で可決、成立し、12月をめどに施行されることになりました。

この改正により、耐震性不足など老朽化が進んだマンションで、区分所有者の5分の4が同意すれば、建物の解体と跡地売却を認められるようになります。改正前は原則、区分所有者全員の同意を必要としたのですが、区分所有者が自力で建て替えるのではなく、跡地を買い受けたデベロッパーなどの企業による土地活用が進められるようになります。

これまで老朽化への対策として、建替えあるいは大規模改修を挙げていましたが、これに建物の解体と跡地売却という新たな選択肢が加わることになります。今回は、その施行を前にその対象となる高経年マンションにスポットを当て、データによる状況分析を行い、加えて居住者の声を併載します。

東京都内の高経年マンション(築40年以上)をデータ分析

首都圏においては、戦後、とくに高度成長期にかけて地方からの人口流入により、大幅な社会増が続きました。こうした状況を受けて分譲マンションの供給がはじまり、当初は利便性の高い都心部で高所得者向けの物件が売り出され、次第に対象をファーミリータイプへと移行しながら輪を広げてきました。

こうした経緯から今回の対象地域は東京都23区内とし、高経年マンション(築40年以上)に限定して分析したしました。

築40年以上、1都3県における東京都内のシェアは6割

現在、東京都内には24,254件の分譲マンションがあります。そのうち築40年を超えるマンションは2,288件で、1割弱に当ります。この年帯に限定すると都内のストックは1都3県の62%を占め、抜け出ています。

築40年以上 地域別のストック数
地域名 件数 戸数
東京都内 2,288 127,295
東京都下 232 30,865
神奈川県 664 73,549
埼玉県 197 24,073
千葉県 322 45,563
合計 3,703 301,345
総戸数40戸以下の小型タイプが5割強

規模別の比率をみると、小規模マンションと呼ばれる総戸数40戸以下が半数を超えています(グラフ3)。この状況を留意しておきましょう。築後年数は平均42年4か月。そして最寄り駅からの所要時間は平均6分と好立地です。

区別のストック数

区別にみると、物件数の多いのは渋谷区、世田谷区、港区、杉並区の順で、ともに200件を超えており、新宿区、目黒区、中野区がこれに続いています。

マンションの規模では江東区、中央区、江戸川区が平均戸数100を超え、平均階高も9以上で上位を占めています。中央区はオフィッス街に、江東区と江戸川区は跡地に多くみられます。

築後平均年数は新宿区、渋谷区、港区が44年を超え、都心から離れるほど年数が浅くなっていきます。

耐震診断が求められる特定緊急輸送道路沿いに建つマンションは350件あり、杉並区(68)、世田谷区(55)が抜けており、大田区、中野区、港区、目黒区の順に続いています。

◆東京都内 築40年以上のマンション 区別のストック数
区名 件数 戸数   区名 件数 戸数
足立区 19 1,773 墨田区 29 1,665
荒川区 8 298 世田谷区 248 12,776
板橋区 88 7,274 台東区 29 1,517
江戸川区 14 1,535 中央区 36 4,113
大田区 140 8,127 千代田区 30 1,622
葛飾区 14 614 豊島区 82 3,434
北区 27 2,039 中野区 168 8,305
江東区 41 5,787 練馬区 92 5,375
品川区 97 6,885 文京区 89 4,137
渋谷区 256 11,476 港区 225 11,867
新宿区 172 8,579 目黒区 170 7,758
杉並区 214 10,339 都内計 2,288 127,295
◆居住者の声(マンションノートより)
日生住宅目黒マンション 築42年 114戸

以前は大きな地震があった際に耐震構造や、築年数は結構経っているので修繕のことで不安はありました。 しかし、耐震工事は今まさに動きだしているようなので2015年には安心できる水準になるようです。修繕に関してもしっかりやっているなぁと感心できるほど管理組合が機能しているので今では不安は特にありません。

哲学堂コーポラス 築47年 42戸

常識的な方が多い。エキセントリックや非常識な人がいない。ドア前までしか出せないような高齢者宅のごみは住民が自主的にゴミ置き場まで運んでいるが、そのゴミには毎回、「何月何日の●●ゴミ(不燃、可燃、など)です。いつもありがとうございます」、などと、丁寧な手書きでゴミを運んでくれる方への感謝メモが貼り付けて置いてあります。

目白パークマンション 築44年 56戸

毎日清掃されており、また、専門業者により玄関、エントランス、廊下、階段、樹木、芝生の手入れがされている。管理組合理事会は毎月開催され、各戸に報告されている。長期修繕計画もあり、その他個々の修繕も迅速に行われている。

初台中央マンション 築43年 73戸

管理人さんが常駐で毎日各階やエレベーター内、ゴミ置き場やマンション周辺を掃除してくださるので常に清潔で非常に心地よい。古いマンションだが、近年耐震工事が行われ、細かい部分の修繕もよく行われるので安心。

築地永谷コーポラス 築40年 478戸

築古のマンションですが、管理組合が有効に機能していて、修繕計画が築70年まで計画されています。 築古マンションで耐震対策工事済みというのは評価できると思います。

分譲主別の分析 - 700社が分譲しているも、現存社は希少

分譲主別では秀和とニチモコーポラスが抜け出ています。分譲社は700社近くありますが、現在操業中は少なく、ブランドだけが残されているという状況です。また小規模なマンションでは分譲主が確認できていない物件もあります。

◆東京都内 築40年以上のマンション 分譲主別ストック数
分譲主 件数 戸数 平均階高 平均戸数
秀和 67 6,750 8.5 101
ニチモ 62 2,981 6.7 48
東京都住宅供給公社 43 6,612 8.4 154
オークラヤ 42 2,624 9.0 62
藤澤建設 34 1,465 5.5 43
永谷 31 3,330 11.3 107
三田 28 1,047 5.8 37
長谷部産業 27 1,528 9.5 57
長谷工コーポレーション 26 1,880 8.2 72
国分建設 25 1,106 8.0 44
住友不動産 24 1,604 7.5 67
日商岩井 23 2,272 9.1 99
ナカノフドー建設 22 2,289 9.2 104
大京 22 1,287 9.8 59
住宅都市整備公団 19 5,750 7.7 303
兼松江商 15 1,135 10.2 76
太平洋興発 15 840 8.5 56
日本建設協会 15 923 7.1 62
三井不動産 14 993 9.1 71
朝日建物 14 1,776 9.4 127
東京建物 14 1,730 9.9 124
丸善建設 13 976 9.5 75
ハイネス恒産 12 583 8.3 49
首都圏不燃公社 12 496 10.1 41
住商建物 12 1,694 7.6 141
中銀マンシオン 12 654 8.2 55
黒川建設 11 598 8.6 54
日本開発 11 711 7.7 65
エルカクエイ 10 951 9.3 95
サマリヤ社 10 489 10.2 49
石原建設 10 513 8.9 51
◆居住者の声(マンションノートより)
麻布コーポラス 築54年 72戸

1960年代初頭には、この周辺は屋敷町で豪邸ばかり並んでおり、マンションはこのコーポラスぐらいしか無かった。様変わりしているが、いまも超一等地に立つマンションであることに変わりはない。

秀和赤坂檜町レジデンス 築43年 59戸

数年前から管理会社に管理を任せるようになってから、ゴミ置き場や清掃の状況が非常に良くなった。エントランスやエレベーター内に監視カメラを設置してから、ポストに投函されるビラ等が減った。

管理会社別の分析

管理体制の確認は難しい状況です。管理会社に委託している物件は約5割、自主管理が約3割、委託状況の確認できなかったのが約2割、というのが当社で把握している数値です。管理の委託状況は、大手の日本ハウズィングと東急コミュニテイが受託数を伸ばしており、これに分譲主系の各社が続いています。

◆東京都内 築40年以上のマンション 管理会社別概要
会社名 平均階高 平均戸数
日本ハウズィング 8.9 57
東急コミュニティ 8.9 75
レジデンスビルマネジメント 8.6 93
秀栄興産 8.9 58
大京アステージ 9.3 53
住友不動産建物サービス 8.0 74
長谷工コミュニティ 9.0 64
永谷建物管理 11.1 93
合人社計画研究所 8.4 85
三菱地所コミュニティ 10.2 65
三井不動産レジデンシャルサービス 8.5 66
東京建物アメニティサポート 9.1 108
太平洋興発 8.1 52
伊藤忠アーバンコミュニティ 9.2 85
大成有楽不動産 9.9 92
日本管財 8.8 93
朝日管理 9.3 60
ユニオンシティサービス 8.6 56
丸紅コミュニティ 9.0 55
ハイネス管理 8.3 50
◆居住者の声(マンションノートより)
三田ハウス 築42年 345戸

築年数がたっているとは思えないほどの管理が行き届いたマンション。住民の質も良いからか、定期的な大規模修繕もされていて(現在も進行中)管理という意味では、老舗マンションの中でも群を抜いて良いと思う。管理人も常駐していて多くの住民の顔もきちんと認識し、セキュリティに厳しい。

白鷺ハイム 築44年 206戸

築年数がたっている割に、全般的には管理状況は良い。意識の高い住民は何人かいるのでその人達の貢献度が高い。その人たちと一緒に活動できれば、マンション全体をもっと無駄なく快適にできるだろう。

マンションの建替状況

東京都内でこれまでに建替えられたマンションは70件あります。

その事例をまとめてみました。

・前物件の竣工年から建替え完了までの期間

平均すると41年。1955年から1977年にかけての竣工物件です。

・前物件と建替え後のマンションの規模の比較

平均規模(総戸数)前物件95戸、建替え後164戸、173%の増

・前物件の分譲主

公的物件が多く、日本住宅公団(19件)、東京都住宅供給公社(12件)同潤会(10)です。

・建替え後の施主

旭化成不動産レジデンス、新日鉄興和不動産、三菱地所レジデンスが三つ巴の状態、これに同潤会アパートの建て替えを手掛ける首都圏不燃公社が加わります。

・手法 任意 ほとんどが等価交換方式

◆居住者の声(マンションノートより)
原宿第2コーポ 築47年 46戸

築年は古いので、耐震性は施されていない、構造の芯部分の鉄筋鉄骨は腐食でスカスカの部分も多く考えられるが、外からの修繕修復のメンテナンスが、住民が一年はどこかへそれぞれ総移動しなければ、建直しは無理で、莫大な費用もかかるので住民一致が難しく不可能に近いことが、総会での結論となった。建造物のそう遠くない将来性への不安は否めない。

秀和麻布狸穴レジデンス 築46年 56戸

大規模修繕や、良好な管理体制によって、一見は築年数による古さは一切感じさせないです。躯体や配管といった部分はメンテナンスのみでは、厳しい時期がいずれやってくると思います。 建て替えその他の抜本的施策が打てるか、他の同年代築のマンション初期作品と同じく試金石と思います。

半数強が、総戸数40戸以下の小規模マンション

東京都内の高経年マンションに、小規模マンションと呼ばれる総戸数40戸以下のストックが53%を占めていることは先に記載した通りで、その状況を分析しておきましょう。

築40年以上[40戸以下]規模の分析
件数 戸数 平均
階高
平均
戸数
10戸以下 111 849 4.8 7.6
11~20戸 327 5256 5.7 16.1
21~30戸 413 10709 6.8 25.9
31~40戸 365 12950 7.7 35.5
1216 29764

上のグラフは総戸数40戸以下のマンションの規模と階高の詳細を示したもので、建物の外観が想定いただけると思います。分譲主と管理の状況については、分譲主が確認できるマンションは6割強で、ニチモ、藤澤建設、三田が上位です。管理については委託先の確認できるマンションは3割強、それにほぼ同じ割合程度の自主があります。委託管理会社は日本ハウズィングと東急コミュニテイが抜け出ています。

◆居住者の声(マンションノートより)
パシフィック麻布マンション 築42年 39戸

長期的に住まわれている方が多く、基本的に理事関係は固定化しています。 ただ、キチンとクリーンな運営をされていて、40年超えのマンションですが、場所柄もありマンションの維持(劣化防止)に積極的な印象です。 修繕積立も無理のない範囲で必要な箇所を定期的にメンテナンスして経年劣化による資産価値低下を防ぐ努力をしています。

築40年以上のマンションストック、5年後に倍増

築40年以上のマンションストックは今後も増え続け、5年後、1都3県においては倍増します。

居住者の声 ― 口コミサイト「マンションノート」より収集