東京都の建て替え支援策 専門家派遣など活用進む |
東京都は、「分譲マンション建替え・改修アドバイザー制度」「都営住宅等の活用による仮住居の提供」など様々な建て替え支援策を実施している。これまでに「建替え円滑化法」に基づく5件の建て替え事業を認可。老朽化したマンションストックも多く、今後も建て替えに対するニーズが大きいと見られるためだ。これらの制度の存在は管理組合の間にも徐々に浸透しつつあり、活用も増え始めている。 都の都市整備局によると「分譲マンション建替え・改修アドバイザー制度」の04年度の申し込み件数は、04年12月の時点で16件だった。 これまで開始初年度の02年度は期間も短かったため派遣は1件にとどまったものの、03年度は1年間で23件の派遣が行われるなど、着実に実績を増やしている。 業務はA,Bの2コースに分かれており、Aコースでは、建て替えか改修かを検討するのに必要な法律や税制、公的な支援などについてアドバイスを行う。Bコースは、対象となるマンションの現況や法規制を確認し、簡易な図面や費用概算などといった検討書を作成する。費用はAコースが1回2時間当たり1万3650円、Bコースは業務内容に応じて8万4000〜29万8200円。03年度の活用実績の中では、それぞれのコースについて約半数ずつの派遣要請があったという。 「都営住宅等の活用による仮住居の提供」は、建て替え工事期間中の仮住居として都営住宅を利用する制度。03年度は20戸を仮住居用に確保し、そのうち9戸が実際に利用された。今年度は1月から管理組合の要望を受け付けるが、利用枠は昨年度同様20戸の予定となっている。 建て替えに対する補助金制度として都は、国の優良建築物等整備事業(マンション建替えタイプ)と都心共同住宅供給事業(マンション建替えタイプ)を合わせて、都市居住再生促進事業(マンション建替えタイプ)として運用している。これまで萩中住宅(東京都大田区)建替え事業が実際に補助金を受け、現在、建て替えを検討中の多摩市の団地に対しても既に融資の許可が下りているという。 都が04年11月に発表した「平成17年度重点事業」では、「東京の住まい向上作戦」の一環として「分譲マンション維持管理ガイドライン(仮称)」の作成などといった長寿命化対策を打ち出している。一方で、「建て替え具体例などを調査・分析し、今後増加が見込まれる分譲マンション建替え事業が直面する合意形成などの課題への対処方策を検討する」として、建て替え支援も重点事業の1つに挙げている。良質な居住確保のため、長寿命化だけでなく、建て替えを検討している管理組合の支援にも引き続き力を入れていく考えだ。(住宅新報2005.1,11号) |