分譲マンション建て替え事例-フェリシオ塚口 2006年12月掲載

 アーバンコーポレイション
 尼崎で初の「建て替え」 築45年、36戸を128戸に
        ー「フェリシオ塚口」神鋼不動産と共同でー
 アーバンコーポレイションは、神鋼不動産と共同で築45年の分譲マンション(兵庫県尼崎市)の建て替え事業を進めている。「建替え円滑法」によらない等価交換方式。36世帯すべての所有者から合意を得た。同社としては、建て替えノウハウを蓄積し、市場での信用力を早期に確立したい考えだ。
 
 今回の建て替え対象物件は、1961年9月に竣工した地上3階建て(2棟構成)・総戸数36戸、専有面積75uと83uタイプのマンション。尼崎市南塚口2丁目、阪急神戸線塚口駅徒歩2分に立地する。
 敷地面積は2674u。5年ほど前から住民の間で建て替えの話が持ち上がり、05年5月下旬に事業者を神鋼不動産とアーバンコーポレイションに決定。事業には06年7月から着手している。08年3月に竣工する予定だ。地上15階建て・総戸数128戸、専有面積62〜115uのマンション「フェリシオ塚口」に生まれ変わる。
 「マンション建替え円滑化法」によらず、全所有者の合意に基づく建て替え事業とした。「法定の『5分の4以上の賛成』を目指した場合、往々にして反対者ともめて裁判になる。裁判となる場合でも長引くケースがある。100%賛成を取れる可能性があるのであれば、そちらを選択した方が賢明」(アーバンコーポレイション)といった判断からだ。1件ずつ戸別に合意を取って回った。
 駅前であるため土地の評価が高かったこと、250〜300%分の余剰容積率があったこと、全世帯の抵当権が消滅していたことーなどを、事業が順調に進んでいるポイントに挙げている。
 全36世帯中、21世帯が新しいマンションに再入居する。その他15世帯は両社で買い取り、総戸数128戸のうち107戸を一般分譲する。07年1月から販売を開始する予定。会員優先分譲住宅は53戸で、価格は2,850万〜5,960万円。再入居者は、階数や広さを事前に選ぶことができる。還元床の割合は100%を超えているため、追加費用を負担することなく入居が可能となった。
 同社では「マンションの建て替え事業は、マーケットが大きい割りに新築事業と比較すると参入企業が少ない。早期にノウハウを積み重ね、信用力と実績を高めたい」と考えている。   (住宅新報  06.12.26号より掲載)