築30年以上のマンションの特性と今後の推移(8−1) Mansion Data Report

築30年以上のマンションの特性と今後の推移        
株式会社マンションデータサービス(2005年7月発表)

 首都圏(1都3県)に立地する築30年を超えた(1975年6月以前竣工)分譲マンションを対象に、その所在状況、建物・規模の特性、さらに今後の推移等をまとめました。以下そのポイントを列記し、それぞれの分析結果を掲載します。

ストックの特性


対全体比  築30年以上のマンションは首都圏に3,955件、327,365戸(8−2)
        1都3県の対全体比は件数ベースで9%、戸数ベースでは13%
          東京都の対全体比は件数ベースで12%、戸数ベースでは15%


地域別比  東京都の比率が圧倒的に高く7割弱を占める(8−3)
        東京都の比率は件数ベースで68%を占め、戸数ベースでは52%
           他3県(神奈川、埼玉、千葉)は大型物件が多く戸数ベースの比率は48%


規模別比  「30戸以上60戸未満」が64%を占める(8−4)
        「30戸以上60戸未満」は件数ベースで6割強を占め、戸数ベースでは5割を割る
          「120戸以上」の大型マンションは550件あり、戸数ベースで53%を占める


階高・面積  階高は「6〜10階建」、面積は「51〜70u」が中心(8−5)
        
5階建以下の中層物件が30%、高層物件では「6〜10階建」が中心で54%
          平均面積は「30u〜70u」のファミリータイプが約8割を占める


事業主比  民間事業主が件数ベースで91%を占める(8−6)
          民間分譲マンションの平均戸数は62戸、公的分譲マンションは289戸
          公的機関物件は件数ベースでは9%だが、戸数ベースでは33%を占める

5年後の状況


築30年以上のストックは5年後に件数、戸数ともに倍増(8−7)
         5年後に件数ベースで2.1倍、戸数ベースで1.9倍に増
           件数ベースでは5年後に2倍、10年後に4倍の増


小規模マンションと民間事業者物件が倍以上の増(8−8)
         マンションの規模 「30戸未満」が5年後に2.8倍の増
           事業主別 民間事業主分譲物件が2.2倍の増

 今回のレポートにおいては、件数ベースと戸数ベースによる双方の数値を併記しました。築30年を超えるマンションには団地形式の大型物件が多いため、件数、戸数それぞれの数値に極端な差異が見られるからです。例えば築30年を超えるマンションのうち、「30戸未満」の小規模マンションは1,193件あり、件数ベースでは全体の30%を占めています。ところが戸数ベースでみると僅か7%のシェアに過ぎません。反対に「120戸以上」の大型物件は550件あり、件数ベースの比率は14%ですが、戸数ベースでは53%という対照的な分析結果になります。一方の結果をもって判断することに危惧を感じたため、双方の数値を併記した次第です。
 築30年を超えるマンションにおいては、「長命化」もしくは「建て替え」の選択肢の中からいづれかの選択に迫られます。「建て替え」には居住者による合意が前提になることや、余剰の容積率の有無が条件になるなど、実現には厳しい条件があります。大多数のマンションは否応なく「長命化」への対策を講じる必要に迫られます。こうした状況下において当レポートが施策の啓蒙に役立つことができれば幸せです。